2020東京大学 物理第2問 レール上を動く導体棒の電磁誘導

設問I

ア) \(BId\)  

イ) 電流は上から下に流れていて、右に力が働くので 磁場は鉛直下向き

ウ) コイル内の磁場の変分を減らす向き(絵で言うと左回り)に電流を流そうとする。よって誘導起電力はXが正のほう。

エ) 電流が流れないとき、キルヒホッフの法則から\(V=V_0\)

オ) 誘導起電力が\(V_0\)なので\(V_0=Bvd\) $$v=\frac{V_0}{Bd}$$

導体棒の運動方程式は右方向を座標の正方向として$$m\frac{\Delta s}{\Delta t}=BId$$ 整理して$$\Delta s=\frac{BId}{m}\Delta t$$

また、\(V=Bvd\)であるから、誘導起電力の変化量は$$\begin{align} \Delta V=&=Bd\Delta s \\ &=\frac{B^2Id^2}{m}\Delta t \end{align} $$

微小時間\(\Delta t\)に溜まる電荷\(\Delta Q\)は$$\Delta Q=I\Delta t$$ であって、⑵より$$I\Delta t=\frac{m}{Bd}\Delta s$$なので$$\Delta Q=\frac{m}{Bd}\Delta s$$ よって、到達速さ\(v^\prime\)までに溜まる電荷は$$\begin{align} Q &=\int_{0}^{v^\prime} \frac{m}{Bd} ds \\ &= \frac{mv^\prime}{Bd}\\ &=\frac{mV_0}{B^2d^2} \end{align}$$

問題の誘導に乗っかると、コンデンサ容量\(C=\frac{m}{B^2d^2}\)のコンデンサに充電しているのと等価。

このとき、コンデンサにたまるエネルギーは$$\begin{align}\frac{C}{2}V_0^2&=\frac{mV_0^2}{2B^2d^2}\\ &=\frac{m}{2}s_0^2 \end{align}$$

⑷で導体棒が持つエネルギーを求めたが、コンデンサと違って電荷がたまっているわけではない。導体棒が持ちうるエネルギーは運動エネルギーだけ。そのエネルギー\(K\)は$$K=\frac{CV_0^2}{2}=\frac{1}{2}QV_0$$

残りのエネルギーは抵抗でのジュール熱に当たる。$$QV_0-K=\frac{1}{2}QV_0$$

設問II

カ) 到達速さでは\(V_0=Bv\cdot2d\)なので、$$v=\frac{V_0}{2Bd}$$ \(\frac{1}{2}\)倍になっている。

キ) 到達速さでは誘導起電力は電池の電圧と等しいので、Iのときと変わらない。1倍

ク) 電流が流れないので等速直線運動する。1倍

ケ) 起電力は\(Bv\cdot2d\)なので2倍になる。

設問III

流れる電流を\(i\)とする。2本の導体棒の運動方程式は加速度を\(a_1, a_2\)として $$\left\{\begin{array}{ll} ma_1=Bid \\ ma_2=Bi\cdot 2d \end{array}\right.$$

ゆえに$$a_2=2a_1$$ 初速はそれぞれ0なので、任意の時間においてそれぞれの棒の速度\(v_1, v_2\)は$$v_2=2v_1$$

また、到達速度においては、キルヒホッフの法則より$$V_0-Bdv_1+B\cdot2dv_2$$であるから、先ほどの速度を代入して $$V_0=5bdv_1$$

解いて $$v_1=\frac{V_0}{5Bd}, \,\, v_2=\frac{2V_0}{5Bd}$$

コメント

難しくない。試験中に見るとサービス問題に見える?

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